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ヒットエンドにゃんEX
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2018年 06月 26日
老猫わび 死を迎えるまで 〈低体温症を受け入れて〉
名前を呼ぶと
短いシッポを 
老猫わび 死を迎えるまで 〈低体温症を受け入れて〉_b0166128_09352695.jpg
プリプリっと振って返事するわび

愛猫の死が近づき
飼い主としてどうしてあげたら・・・

〈穏やかな覚悟〉→こちらクリック




文 ふじきせき
老猫わびが我が家にやってきて
ちょうど三年と半月になろうとしていた
保護した時点で、体重は1.7Kの軽量
すでに一度瀕死の事故を乗り越え
顔の片方と脚に障害を持って
ジャンプできず・・・
年齢不詳も、その瞳孔から老猫だと分かった
12月末、抱き上げた時の軽さに
『明日は雪の予報
屋根あるところで最期を』
と思っての保護だったが、
気付くと三年を越していた

保護してちょうど三年経った日
体調悪化
新しい病院との出会い
大みそかも治療を施していただき復活!

すでに自ら食事もできないほど
口の中は痛んでいたが
〝生きたい”意思は伝わってきた
日々、美味しくない腎臓用のご飯も
生きたい意思が上回り頑張って食べてくれた
体重も多い時は2.4Kを越したこともあった
週3の病院通いも、日に日に減り
安定して来ると月2回になったことも・・・

しかし、着実に死に向かっていたことは重々わかっていた

その日がすぐそこまで来ていたことを
本人は感じ取っているのに
肝心な飼い主の私が覚悟できずにいた

そして急変し、2日ほどの入院

帰ってきた時の穏やかなわびを見て
申し訳なさと、私なりの本当の覚悟ができた

6月3日夕方退院してからは、
ケージに病院での空間を真似て部屋を作った
開け放たれたケージも、
わびには落ち着くようで、出てくることはなかった
お水はまだ自力で飲めた

翌6月4日から・・・
サーモン刺しが好きだったことを思い出し
ほんのひとかけら口に持って行った
口をつけるも、口の中が痛いのかわずかしか食べられず
サーモン刺しをすりつぶし
かつお節をつけた水でのばしたスープ状の液体を
シリンジで少し与えると
一瞬シリンジに抵抗を示すも
香りに釣られスムーズに飲んでくれた

大量の点滴を受け入れられなくなった体
日々、薬と50ccほどの点滴、
そしてほんのわずかなサーモンスープを口にする日々

日に日に痩せていくわび
それでもまだ、自力で立ち上がっていた
6月7日、サーモンスープの量も減ってきた
その日の午後、病院から電話があった
どうですか?とのことだが、
私の返答は
『まだ生きてます』
翌日病院へ

6月8日
血液検査
体重は1.7Kと減っていた
拾った時の体重と同じだった

点滴量が100ccに
4種類飲んでいた薬も、1種類になった

6月11日には、サーモンスープも吐き出し
もう口から入れることはやめようと・・・
つまり生きるためのエネルギーを断ち切ったのだ

お昼過ぎ、ぽろっと一本わびの歯が抜けた

痛さが少しは和らいだのか 
老猫わび 死を迎えるまで 〈低体温症を受け入れて〉_b0166128_12310739.jpg
表情穏やかに横になっている

ネットで体験談を探し
低体温症を見守る最期を知った

最終的に、自ら〝低体温症”にいたろうとする猫の行動

死を迎える準備と言う訳ではなく
生命体として、極力エネルギーを使わないようにする行動のようだ
自力で立ち上がることもままならない状態も
少しでも冷たいところへ移動しようとするわび
本来、治る見込みがあるのなら
〝低体温症”は猫にとって大敵
しかし、最期を迎える老猫には
苦しまず行ける方法に思えた

暖めてあげず、ただ低体温症になって行くわび
余力のないわびの胃には、もうエネルギーになるものはなく
そのまま死に至るのだ

葛藤はあるものの、
過去の老猫たちの最期を思い出しながら
これが最善とは言えずも
苦しそうではないわびの穏やかな表情にその選択しかないと・・・

帰宅すると、肌寒い中
わびは動けないはずの体をおして
トイレの砂の上に上半身を乗せていた
冷たいところを求めていたのだ
低体温でこのまま今夜辺りかな?
そんなことを思いながら
もうわびの体を暖める行為はやめた

6月12日
歯茎からだろう、血が出続けていた
固まって呼吸に障害にならないよう水で洗い流す
鼻の詰まりで呼吸が苦しくなるも
低体温症状態のせいか、
吸っても固まって出て来ず、
一旦顔を温めてから吸ってだす
呼吸が楽になると、表情も楽そうだった

私の勝手な判断で薬もやめた

お昼過ぎ、出かけなければならない
サヨナラになることを覚悟し
穏やかな表情で横になっていたわびに
〝がんばれ!”
とは言えなかった
なんと言えばいいかわからず
『行ってくるね
・・・ありがとね』
としか言えなかった

私と入れ違いに、一旦帰宅した夫から電話が来た

まだ温かいがもう亡くなっていたと言う
わずか2時間位の間に
一人で旅立って行った

苦しんだ様子は見受けられないようだった

私は悲しむ暇なく
すぐに葬儀屋さんへ電話をしていた・・・

つづく










by fujiki-seki | 2018-06-26 12:39 | 猫だって歳をとる
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