ビーコンは鳴かない
猫じゃらしを動かして〝遊んで♪”の意思表示
俺ガス(サバトラの猫)
猫の子は、目を開いた時
目の前にいたものが親だと思い込むと聞いたことがある
俺は17年前、飼い主バキに拾われた
目が開く前に拾われ
最初に目にしたものが、飼い主バキの
〝おかめ顔”だった
おかめ顔だが、一応人間
お互いの臭いで交流する猫は
よっぽどのことでない限り鳴く必要が無い
しかし、人間を親と思って生きてきた猫は
基本、親である人間とは
〝にゃんにゃん”
と鳴いて意思を伝える
俺は当然のように
鳴くというか
声を出して話したり、甘えたり
時には文句言ったり・・・
飼い主さんに置いて行かれ我が家に来た初老わびも
俺以上にすべて〝鳴き”で意思を伝える
しかし、若猫ビーコンは違う
いつも黙って動く
お腹が空いても鳴くことはない
ブラッシングをしてほしくても一切鳴かない
痛い思いをしても歯を食いしばり鳴くことはない
まだ子供のビーコンは
猫じゃらしが好き
飼い主に遊んでもらおうと、
猫じゃらしを飼い主の側まで運んできて
飼い主の背をトントンとたたく
飼い主が振り向くと
ビーコンが猫じゃらしの持ち手を転がしている
持ち手を自分の前まで引っ張り終わるも
飼い主に動きが無いと知ると、
今度は猫じゃらしの
紐の部分を引っ張りながら触る
そして
(遊んで~)
と、
じっと飼い主を見つめる
遊んでやればいいのに・・・
飼い主バキは、ちょっと意地悪な女
ビーコンが運んできた猫じゃらしを
ビーコンの位置から
少々引っ張って離してみる
もう一度意思を伝えようと、
猫じゃらしの側へ・・・
この後、
どう意思表示すればいいのか考えるビーコン
鳴かないビーコンである
再び
持ち手の部分を引っ張る
そして紐も手繰り寄せ
『いい加減気づけよ~』と言いたげに見つめるビーコンこのあと激しい騒音が部屋中を駆け回った
床やら 壁やら・・・
鳴かずに気持ちを伝えるビーコンに対し
俺の知らない野性の本能を感じた