俺ガス
飼い主の夫であるおにゃじには、大好きな大学時代の友人がいる
その一人が近々急に転勤することになったらしい・・・
妻であるバキは、妻としてたった一つ感心することがある
それは夫の携帯電話を勝手に見ることはしない
・・・って言うより、自分の携帯電話もまともに使いこなせないバキが、人の携帯電話を触るなんてありえないとも言える
先日、おにゃじのところにメールが来た
何度かのやり取りの後、おにゃじはバキに寂しそうに
『〇〇が、転勤だって~』
と言ってきた
バキが、
『それで・・・いつ、どこ?』
しばらくして、おにゃじが
『一応場所は想像つくけど・・・』
としどろもどろ
業を煮やしたバキが
『メールになんて書いてあんのよー!』
と・・・
おにゃじは恥ずかしそうにも、珍しく楽しそうに全文を読み上げた
※おにゃじと友人の間には暗黙の決まりがあるようで、メールの話の最後に語尾に“の~(音程上がる)”をつける
友人【転勤が決まったの~】
おにゃじ【どこなの~?】
バキ『え~、そっから~?おにゃじも“どこ?”だけじゃなく、“いつ?”って時期とかもきくでしょ~?』
俺(きっと転勤と言っても、近場とかだから場所も時期も関係ないとかじゃないかにゃ~)と、その最初のやり取りで思ったのだが・・・
友人【遠くて、雪がいっぱい降るの~】
おにゃじ【モスクワなの~?】
バキ『え~、地名じゃないの~?それもおにゃじもモスクワって何?』
本気で心配気味のバキは、ちょっと怒り気味になってきた
俺(北海道か?いや、本気でモスクワか?)
俺はこの2人のやり取りに、楽しい友情さえ感じる・・・が、いったいどこ?
友人【楽天の牧田の出身地なの~】
おにゃじ【越前蟹が美味いの~】
バキ『は~?だから、なんで地名じゃないの?』
しかし、徐々に笑いが込み上げるバキは、ついでに
バキ『県知事が政治家に送った越前蟹と同じの送ってって頼んどいて~♪』
と・・・
俺(さすがバキを唸らせた野球通の〇〇さんだけある♪
ただ・・・なんで2人とも、地名をはっきり言わないのか?)
友人【往復三万円するの~】
おにゃじ・・・返信せず
バキ『なんで返信しないの?』
おにゃじ『面白いこと返せなかった・・・』
俺(おいおい、面白いとかって話じゃないだろ~!最後まで県名わからず仕舞いかよ~!福井県ってことでいいのか?いや、そんなことより、いったいいつなのか、全くわからないではないか!)
本当の友情とは、もしかしてこのようなものかもしれない
おにゃじの親友は、今までにも多くの転勤をこなし、俺たちが思っているほど重大ではないようだ
ちなみにいままでの転勤場所は
仙台 船橋 館林 吉祥寺 大牟田 越谷・・・
追記 あと沼津、大宮も(本人よりクレームが・・・)と、いろいろ♪
バキはこの友人の野球話が大好きである
記憶力の弱いバキにとって、おにゃじの友人の《プロ野球選手の出身校を全て言える》才能は憧れでもある
そしてウルトラマン好きのおにゃじは、その友人を“ウルトラセブンの師匠”と呼んでいる
友人の家に遊びに行っては『夜のヒットスタジオ』を鑑賞(梓ミチヨと内藤やす子の場面は早送りする)
頼もしく、楽しい友だということは、十分理解できるのだが・・・
いったいいつ転勤するんだろう?